30代・未経験から大学職員になるには?採用までの全ロードマップ
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「30代、未経験から安定した大学職員を目指したい」
そう考えたとき、「特殊な世界なのでは?」「競争率が高すぎて無理では?」と不安を感じるかもしれません。
実際、大学職員の仕事は特殊な内容もありますし、募集の倍率も非常に高い状況はありますが、あなたがこれまで培ってきたビジネス経験やスキルは、大学という組織で活かすことができます。
むしろ、民間経験のない新卒や生え抜き職員にはない、「即戦力」としての強みになるくらいです。
この記事では、私の実体験をもとにしながら、大学職員へのキャリアチェンジを目指す方が、ゼロから内定を勝ち取るための「ロードマップ」を示します。
あなたの不安を解消し、自信を持って転職活動に臨めるよう解説しますので、「大学職員への転職は難しそう」という固定観念を捨て、今日から第一歩を踏み出しましょう!
全体像:大学職員採用のロードマップ
大学職員の採用プロセスは、一般の民間企業の転職活動とそう大きくは変わりませんが、応募から内定まで、しっかりとフェーズを踏む必要があります。
まず、全体像を以下の流れで把握しておきましょう。書類選考、Webテスト、面接といった選考過程の部分は多少大学によって異なりますが、概ね以下の流れで進んでいきます。
| ステップ | フェーズ | 概要 | 所要期間(目安) |
|---|---|---|---|
| ステップ1 | 下準備 | 業界研究・自己分析 | 1〜3ヶ月 |
| ステップ2 | 募集開始 | 求人情報収集 | 1週間〜1か月 |
| ステップ3 | エントリー | 履歴書/志望理由書等の提出 | 1週間~2週間 |
| ステップ4 | 採用試験:書類選考 | 提出した書類による審査 | 1週間〜1ヶ月 |
| 採用試験:Webテスト | PC受験による基礎能力確認 | 1日 | |
| 採用試験:面接(3回程度) | 複数回(一次〜最終)による人物評価 | 1ヶ月〜2ヶ月 | |
| ゴール! | 内定 | 採用決定 | — |
ステップ1:下準備【大学職員の理解を深め、自身の経験とリンクさせる】
初めにお伝えしておきますが、最も重要なのがこの下準備です!
ここがしっかりしていれば、応募書類や面接で自身の経験をアピールしたり、説得力のある志望動機を語ったりすることが十分にできるようになります。
大学という業界や志望する大学の基礎知識を身につけ、
- 業務に関する理解を深めておくこと
- それをご自身の経験と関連付けていくこと
を大切にしながら準備を進めていきましょう。
大学のWebサイトで「経営」と「現場」を見る
まずは気になる大学のWebサイトを確認し、大学の「マクロ」と「ミクロ」の視点を手に入れましょう。
特にマクロの方は、全体像を把握するというのはもちろんですが、「企業経営」という観点で大学の情報を見ることで、あなたのこれまでのビジネス経験をどのように大学職員の業務に活かせそうか、情報をリンクさせるきっかけにもなります。
- マクロ視点(経営状況)
- ビジョン・事業計画:どの大学でも、大学のビジョンや事業計画書が掲載されています。設立当時から引き継がれている伝統的な理念や、大学が今後、教育・研究機関として目指している方向性など、大きな視点を確認しておきましょう。
- 財務報告書・データ集:経営に関する数字についても、大学のウェブサイトに掲載されています。学生数や収支の状況、事業の進捗状況など、大学の経営の安定度や課題を客観的に把握しておきましょう。大学は非営利組織ですが、教育研究活動を適切に行うための健全な経営は重要なポイントです。
- ミクロ視点(現場の雰囲気)
- 業務紹介:その大学においてどのような職員業務があるのか確認し、携わる可能性がある業務の種類や概要を確認しておきましょう。大学によって幅の広さや特殊性が異なる部分もあります。
- 職員紹介インタビュー:大体どこの大学も、職員インタビューのページが用意されていると思います。実際に働いている職員が具体的にどのような仕事をどんなスケジュールで行っているのか、どのような価値観を持っているのかを知り、自分が働くイメージをより具体的にしておきましょう。ただし、当然ですが、インタビューは選ばれた優秀な方の例であり、見栄えの良い内容になっていることが多いです。悪いこともあまり書いてありませんので、鵜吞みにしすぎないようには注意しましょう。
おすすめ書籍で業界理解を深める
大学職員の仕事は多岐にわたり、民間企業とは異なる文化や慣習があります。これらを短期間で理解するためには、良質な書籍からインプットを行うこともおすすめです。
おすすめの書籍:『大学職員のリアル』(倉部史記 著)
- 大学職員という仕事の実態、キャリアパス、求められる能力などが客観的にまとめられていて、業界の解像度を高めることができます。
- 特に、内容としてはポジティブなことだけをアピールするような内容ではなく、巷で言われている「大学職員は楽で高給、超ホワイト」というものを否定するネガティブな内容もしっかり描かれていて、リアルな実態を如実にまとめてくれていると感じるものです。
※ただ、実際に大学職員に転職した私の感触としては、それでも激務な民間企業と比べたら超ホワイトなのは間違っていないと思っています。 - 私も転職活動中に本書を読んで大学職員という仕事についての理解を深めることができたので、ぜひ一度読んでみることをおすすめします。
国(文科省)の動向も見てみると面白い。ただしやりすぎには注意。
大学業界は、国の教育方針や政策に大きく左右されますが、どのような内容があるのかは文部科学省のウェブサイトで確認することができます。
例えば、文部科学省が出している「グランドデザイン答申」は、国が大学(高等教育)に求めている方向性や課題を知る上で有効です。
その他、教育や生涯学習に関する審議会である、中央教育審議会(中教審)での諮問・答申もウェブサイトにあるので、大学に関連する審議の細かな内容も確認することができます。
自身のビジネス経験の棚卸し
調べた情報をもとに、これまでの自分の経験が大学職員としてどのように活かせそうなのかを結びつけるために、自身のビジネス経験を棚卸ししておきましょう。
大学職員転職に限ったことではありませんが、過去のキャリアを列挙しながら、
- 何か改善を行った経験
- プロジェクトを成功させた経験
- 逆に失敗した経験(と、そこからのリカバリー)
など、具体的なエピソードを思い出しながら書き出せるとよいかと思います。
大きなエピソードでなくても、実行したことやそのプロセスで考えたことなどは、きっと大学職員での業務に繋がるはずです。
- コスト削減に成功した例を大学の運営においても活用できそうだ
- 顧客対応のノウハウや問い合わせの削減例を、学生との対応にも適用できそうだ
- 他企業とのタイアップ事例を、産学連携プロジェクトで同様に行えそうだ
実際に入職してからその業務を直接行うかどうかは確実ではありませんが、こうした内容を伝えられると、「この方は再現性高く活躍してもらえそうだな」と思ってもらえる一つの大きな材料になると思います。
番外:英語能力のスキルアップ
大学では、グローバル化や少子化に伴い、留学生を多く受け入れるようになりました。大学職員も英語を求められるように少しずつ変化しています。
そのため、英語の能力が高いことは選考過程において評価される一つのポイントです。
必須ではありませんが、準備ができる方は英語の勉強をして試験を受け、よりよいスコアを提出できるようにすることも合格の可能性を高める一つの要素になり得ます。


ステップ2:募集開始【求人情報を収集する】
下準備も大事ですが、実際に応募するには求人情報をしっかりキャッチしておかないといけないので、並行して大学職員の求人情報を集めていきましょう。
採用のピークは年2回(4月・10月入職)
多くの大学は、新年度が始まる4月、もしくは年度途中の10月に入職者を迎えます。
特に、いわゆる総合職にあたる「専任職員」の採用はほぼここです。
募集開始時期はそれぞれ、約半年前から行われるので、
- 4月入職を目指す場合:前年9月頃から求人を探す
- 10月入職を目指す場合:3月頃から求人を探す
ことになります。時期を逃してしまい、気づいたら締め切りを過ぎていた!なんてことにならないように、予め準備しておきましょう。
※通年採用や任期付職員について※
特定の専門ポジション(DX推進、国際化など)に対しては、上記の時期以外で通年採用が行われているケースもよく見かけます。
ただし、こうしたポジションは任期付(有期雇用)のケースが多いため、自身のキャリアプランに合致するかどうかをしっかり確認したうえで応募するかどうか判断しましょう。
求人の探し方(公式サイト・転職サイト・エージェント等)
求人情報は、基本的には第一にその大学のウェブサイトに公開されるので、自身が応募したい大学のウェブサイトを確認しにいきましょう。一次情報としてはやはり公式サイトが最も重要です。
ただ、多くの大学の情報を一つ一つ探すのは非常に大変なので、効率よく情報を収集するために転職サービスを活用することもおすすめです。自身に合ったものを選びながら、複数のルートを活用しましょう。
- 転職サイトの活用(網羅的な情報)
- 大学の求人情報は、転職サイトにも掲載されます。
- 多くの求人を網羅的に確認できるので、自分が知らなかった大学の求人を見つけるきっかけとして活用するには非常に有効です。
- 転職エージェントやダイレクトリクルーティングサービスの登録(非公開求人)
- 大学によっては、公募せずエージェント経由でのみ募集を行う非公開求人も存在します。
- 特に、特定の職種に限った専門人材の募集なんかは非公開求人として紹介されるケースもあるので、登録しておくと思わぬ優良求人に出会える可能性も広がります。
ただし、転職サービスは、関連の無い情報も入ってきてしまったり、エージェントからしつこい連絡が来てしまうケースもあったりと、場合によっては転職活動にノイズを与えてしまうこともあります。
基本的に転職サービスは無料で登録できるので、まずは気軽に登録してみつつ、様子を見ながら実際に活用するかどうかは見定めましょう。


ステップ3:エントリー【自身の経験をアピールできる書類を作成】
30代・未経験者が書類選考で魅力的なアピールをするために、「なぜ大学職員なのか」と「自分の経験がどう活きるのか」を論理的かつ具体的に結びつけることを意識してみましょう。
ビジネス経験を大学職員の仕事に変換する
新卒採用とは異なり、既卒採用、特に30代の転職者では「即戦力性」が一定度合い期待されます。
下準備してきた内容を整理して、過去の具体的なビジネス経験が、大学のどの部署の業務にどう活かせるかを言語化していきましょう。
大学職員は、教員と学生、外部機関との橋渡し役を担う仕事です。多様な関係者との折衝経験なんかも、大きな武器になります。
その他の提出書類(成績証明書・英語能力証明書など)
私が個人的に驚いたことの一つなのですが、転職活動の際、既卒採用においても大学時代の成績証明書の提出が求められるケースがありました。
教育機関だからなのか、ある程度過去の学業に対する向き合い方なども評価しているのかもしれません。(どのように評価しているのかは、実際のところ私もわかりません。)
過去の実績を変えることはできないのでありのまま提出するしかありませんが、しっかり提出できるように準備はしておきましょう。
また、英語能力に関する資格として、TOEICのスコア提出が求められるケースや、その他TOEFL、英検などのスコア・資格を保有している場合は提出することが推奨されることが多くありました。
番外:英語能力のスキルアップの項目でも触れましたが、大学職員は英語が求められるようになってきているので、アピールできるものは積極的にアピールしていきましょう。
※応募要件に明確に記載がない限り、英語ができないからと言って落ちるということはまずないです。ただし、「入職後に頑張ってね」と言われることはあるかもしれません。実際、私の同期入職のメンバーで言われている人がいました。
ステップ4:採用試験【書類選考・Webテスト・面接】
書類選考・Webテスト
書類選考とWebテストは選考過程として別々のこともあれば、セットで一次選考ということもあります。
いずれにせよ、まずは初めの選考を通過し、面接に進むことが重要なので一つ一つ準備して臨みましょう。
とはいえ、Webテストは「構えすぎない」
多くの大学では選考過程でWebテストが実施されます。おそらく新卒採用の就活中にSPIや玉手箱といったようなテストを経験された方がほとんどではないでしょうか。いわゆる、あれのようなものです。
当時はかなり対策した方もいらっしゃるかと思いますが、既卒採用においては、個人的にはそこまで気を張って準備しなくても良いかと思ってます。
【理由】
- 社会人経験を積んできたビジネスマンであれば、ある程度は普通に解ける。
- 採用する側としても、おそらく非常に優秀な成績を求めているわけではなく、基本的な論理的思考力があることや、明らかに不審な回答をする方ではないこと等、最低限の判断基準として使っていると思われる。
そのため、よっぽど自信がない方以外は、ここに時間をかけて対策する必要性は低く、それよりも企業研究や自己分析、面接対策に時間を割く方がおすすめかと思います。
面接:「対話」を意識しつつ、自身のことをしっかりと伝える
面接は概ね3回程度行われます。私の経験上は、大学職員だからといって特有のトリッキーな質問がたくさんされるかというとそんなことはなく、志望動機やこれまでの経験、今後何をしたいか、など、一般的な転職の面接と同じような内容でした。
エントリーの際に提出した内容に沿って質問されることも多くあるので、面接前には、提出内容を振り返っておきましょう。
また、通常の面接と同様ではありますが、以下のようなポイントを抑えて、面接官の方としっかりコミュニケーションを取ることが重要です。論点がずれたり、一方的に話したりすることがないよう心がけましょう。
【ポイント】
- 簡潔に答える: 聞かれている内容に対して、的確に答えましょう。アピールしたい気持ちが先行して話がずれたりするとコミュニケーションが成立しません。
- 自分のこと・未来のことを伝える:その中でも、アピールできる場面では、しっかりと自分のことを伝えていきましょう。
- なぜ大学職員なのか、なぜこの大学なのか(志望動機)。
- これまで何を経験し、どのようなスキルを身につけたのか(自己紹介・経験)。
- 入職できた場合、どのように貢献し、何を成し遂げたいのか(未来への展望)。
しっかりと準備を行い、落ち着いて「対話」に臨めば、きっとあなたの魅力は伝わります。
まとめ
30代・未経験からの大学職員への転職は、決して簡単とは言いませんが、しっかりと準備行えば十分に実現可能です。
民間企業で培った経験は、大学という組織にとって貴重な「外部の視点」であり、大きな価値を持ちます。
まずは気になる大学のサイトをチェックし、業界のリアルを知るところから始めましょう。
あなたの転職活動を心から応援しています!
